私はこれからも生きる。

 本当はここに書いて良いのか,書いてはいけないのか,
書きたくないのか,書きたいのか自分でも分からないが,
祖母の様態が芳しくないことを,今日,初めて知らされた。

前から入院していたことは知っていたが,なにぶんもとから体の弱い祖母だったので,大事にいたる事由での入院だとは考えてもいなかった。

 研究室にいるときに母から電話をもらった。
はじめは室内で適当に話して電話を切るつもりだったが,
母の様子がいつもと違った。
部屋を出て,階段の踊り場へいった。

 何を話したんだろう。
断片的にしか覚えていない。
涙が止めどもなく流れた。
考えると今でも涙が流れてくる。

 小さい頃,よく祖母の家に泊まりに行った。
夏の暑い日,近くのスーパーまで手をつないで歩いた道を思い出す。

 大学生の頃,私の夢をみてどうしても会いたくなった,と両親に連れられて姉との二人住まいの家まで出向いてくれた日のことを思い出す。
なんであの時の私は,あんなに素っ気なかったのだろうか。
恥ずかしかったのかな。

 思い出がいくつもいくつも頭に浮かんでくる。

 今も祖母は頑張っているのに,こんなことばかり考えて泣いている私はやっぱり馬鹿だ。

 修論にはやく目途をつけて,実家へもどりたい。
でも,戻りたくない。
そういう理由で戻るのはいやなのだ。

 夏には広い庭の草むしりをし,冬にはコタツに入って猫をなで,私の大きな呼び声にこたえて台所からでてくる祖母に会うために私は戻りたい。

泣きたくない。


許されない大きな嘘をついて,つまらない事から逃れた自分の浅はかさ思い出す。
その罰がこんなに早くやってくるなんて。
神様,おじいちゃん,どうか祖母を守ってください。
お願いします。